村上春樹、今年もノーベル賞を逃す!文学賞にはカズオ・イシグロさん

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ノーベル文学賞が5日午後1時(日本時間午後8時)に、スウェーデンアカデミーから、日系英国人小説家のカズオ・イシグロさんが受賞が発表されました。

毎年、話題になる村上春樹さんは残念ながら、今年も受賞を逃す結果となりました。

村上さんは、2006年にノーベル賞の登竜門といわれるチェコの文学賞「フランツ・カフカ賞」を受賞してからというもの、ノーベル賞発表シーズンになると、作品が世界50言語以上に翻訳されている村上氏は毎年のように名前が挙がっています。

今年も英大手ブックメーカー、ラドブロークスの予想オッズは5倍で、2番人気だった(1位は現代アフリカ文学を代表するケニア出身のグギ・ワ・ジオンゴさんの4倍)

15年はベラルーシの女性ジャーナリスト、アレクエーシビッチさん、16年はアメリカの歌手ボブ・ディランさんが受賞し、文学の枠にとらわれない受賞が続き、アジア圏の受賞者は12年の莫言さん(中国)を最後に4年間出ていないことから、今年はアジアから村上春樹さんでは?と注目が集まっていました。

村上春樹さんは、2月24日にも新作長編小説「騎士団長殺し」を出版しており、タイトルがまるでライトノベルのようと話題になっていました。

村上春樹の新作長編小説はライトノベル!?

村上春樹といえば「羊をめぐる冒険」「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」など数々の人気小説を生み出してきた今の日本で最も有名な小説家の一人でしょう。 独特で軽い文章と癖のある登場人物が特徴で、”ハルキスト”と呼ばれる熱狂的なファンを多く抱えている反面、純文学愛好家の間では批判されることも多くアンチの数も多い稀有な作家です。

また、作品についてだけではなく、毎年ノーベル文学賞の時期になると今年こそ受賞するのかどうかで話題になるのも定番のパターンになってきました。色んな意味で世間の注目を浴びる村上春樹ですが、今回は2013年に「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を発表してから実に4年ぶりとなる新作を発表しました。

しかしながら今回の新作、あらすじなどは全く明かされておらず、タイトルしか発表されていないにもかかわらず、既に話題となっています。前作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」もなかなか珍しいタイトルだと思いますが、今回はある意味それを上回る衝撃的なタイトルです。そのタイトルはなんと「騎士団長殺し」。思わずラノベかよ!と叫んでしまいそうになるタイトルです…笑

「騎士団長殺し」タイトルだけで終わらないラノベ感

電撃文庫…じゃなかった、新潮社の発表によれば、発売日は2017年2月24日。今作は「IQ84」以来となる複数編構成で全2冊(各税抜1,800円)の同時発売なのですが、それぞれのタイトルが「第1部 顕(あらわ)れるイデア編」「第2部 遷(うつ)ろうメタファー編」とこれまたライトノベル感全開のタイトル…笑

顕れる、遷ろうと普段使わない漢字を使っている辺り、純文学っぽくも感じますがいかんせん言葉のチョイスが完全にラノベのそれです。村上春樹は型にとらわれず、純文学の枠からはみ出たような作品が多いのが特徴で、それも熱狂的なファンが多い理由なんでしょうが、今作のタイトルに関してハルキストはどう思っているのでしょうか… ある意味、村上春樹らしいといえばそうですが…

と、なんだかここまで批判的に書いてしまった気がしますが、ハルキストとまではいかないまでも彼の作品の一ファンである筆者としては、正直このタイトルは大いにアリだと思います。少なくとも筆者は買っちゃいます。だって気になるし。あの村上春樹が、数々の賞を受賞し世界的にも有名なあの村上春樹が満を持して世に送り出す原稿用紙2000枚分にも及ぶ長編小説のタイトルが「騎士団長殺し」ですよ? こんなの買っちゃうでしょう。これが僕みたいに好奇心に負けて買っちゃう人が続出するだろうと予想して付けられたマーケティング重視のタイトルだとしたら完全にやられました。おとなしく貢ぎます。

それにしても、村上春樹ももう67歳になるのに、ここまでモダンなセンスでキャッチーなタイトルを付けられるのは純粋に凄いと思います。作品を読んでいても感じますが、ものすごく柔軟性に富んだ人なのでしょう。だからこそ、単純に小説だけでなく、翻訳やエッセイ、ノンフィクションといった分野でも活躍できているのだと思います。

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この宣伝画像も完全に純文学ではなくライトノベルのそれにしか見えなくなってきました。

村上春樹の名前が逆にシュールです。インパクトはあるのでやっぱりマーケティング的には大成功な感じもしますけどね。現にこの画像見てからさらに読みたい衝動は加速していますし…笑


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ホントは凄い人! 村上春樹の名作小説紹介!

こんな記事を書いておいてなんですけど、本当に個人的には村上春樹の作品は大好きですし、実際凄い人なんです! この記事を読んで村上春樹に興味を持ってくれた方のために、「騎士団長殺し」が発売されるまでの間、読んで欲しい作品を紹介しようと思います!

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「風の歌を聴け」

村上春樹の最初の長編小説。他の村上春樹の長編小説と比べると短いため読みやすいのではないでしょうか。主人公の「僕」を取り巻く、1970年の夏の物語。友人の「鼠」が登場する最初の作品でもあり、続編である「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」と合わせて羊四部作(ダンス・ダンス・ダンスを除いて羊三部作と言われることもある)と呼ばれている村上春樹の人気の長編小説です。

嫌に厭世的な世界観ながら軽い文体で読めてしまうこの作品はこの後の村上作品のオリジナルとも言え、ファンの方にも、初めて読む方にもおすすめできる一作です。

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「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」

筆者が最も好きな村上春樹の小説がこちら。上下巻とあり少し長いので村上春樹最初の一作にはおすすめできないが、彼の文章に慣れてきたらぜひ読んで欲しい作品。「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の章が交互に展開され、始めは全く無関係だったそれぞれのストーリーが徐々に絡み合っていく珍しい形式の小説。

非現実と現実が混ぜ合わされている不思議な世界観ながら、何故か違和感を感じること無く読めてしまう不思議な魅力があります。しかしこの小説の一番の魅力は何と言ってもその読後感。体の中が空っぽになったような、色んなことを考えながら同時に何も考えられなくなるような、そんな不思議な読後感を楽しんでほしいです。

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「東京奇譚集」

長編小説が苦手な方のために短編集も一つ紹介。この東京奇譚集はここまで紹介した2作と違い、少しだけ変な日常の1ページを切り取ったような話が多いため、スリリングな展開や、ストーリーとしての面白さを求めている人には不向きかもしれませんが、村上春樹の書く文章や世界観が好きな人にはおすすめの一冊です。

筆者は収録されている5つの短編の内「品川猿」という話が一番好きで、村上春樹の持ち味である日常と非日常が交錯しているにもかかわらず、何故か違和感なく読めてしまうという部分をよく感じられる短編です。「偶然」や「嫉妬」といった日常にありふれたものを切り取ったそれぞれの短編は、どれも完成度が高く、それでいて読みやすいため、おすすめです。

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いかがでしょうか! これらの作品を読んでもらえば、まさかライトノベルを書く作家ではないということはお分かりいただけたかと思います笑

しかし、ライトノベルにも匹敵するような突拍子もない設定、そしてそれを文学の枠に落とし込み昇華するのが村上春樹の魅力。新作でも、そんな村上春樹ワールドを存分に体験できるのが楽しみです!