
8月7日の朝日新聞に掲載されたお悩み相談のコラムで、セクハラに悩まされる女子中学生に対する返答が「大人の余裕」として一部で称賛されるものの、もう一方では非難の嵐が…!いったい何が問題だったのか?
グラビアアイドルの中でも若干AV寄りと言っても過言でない壇蜜。数々の番組に出演し、今ではタレント活動のほうも絶好調ですね。親としてはこのような性を連想させるグラビアモデルが子供の目に触れるようなゴールデンタイム中の番組へ出演することは控えて欲しいと願うでしょうが、壇蜜に関しては世間もまあまあ寛容なようです。小学生でも壇蜜は知っていますし、(ガッツリアダルトという本業は知らないでしょうが)ちょっとしたお色気お姉さんというキャラも定着しつつあります。バラエティ番組でも頻繁に見るようになりました。
ですが、テレビ出演の際のちょっとしたネタとしては許せるとしても教育上よろしくないという事実は変わりません。テレビでよく見るからと言って壇蜜が子供のロールモデルになれるかと言ったら全く違います。アダルト関係の職業は親からしてみれば絶対に子供にはしてもらいたくない職業であることは変わりないですし、変に影響を受けることはなんとしても避けたいというのが世間での共通な認識であることは当然です。
そういう認識を知ってか知らずか、今回朝日新聞に掲載された中学生のお悩み相談の記事は、炎上してしまうだけの問題をはらんだ記事になっていることは否定できないですね…
記事の内容は
以下、炎上のもととなった新聞記事の本文から問題となったところの抜粋をしたものです。
■相談 中学校で男子からセクハラ、イライラ
「今日のブラジャー何色?」と毎日のようにクラスのある男子に聞かれます。最近では「胸をもませるかパンツを見せて」と言ってきます。私はスポーツをしていて、ショートカット。筋肉質だし、エッチな体形でもありません! もちろん「嫌だ!!!!」と毎日言っていますが、一向にやめようとしません。塵(ちり)も積もればなんとやらで、すごくイライラします。
(福岡県 女子中学生・12歳)
■今週は壇蜜さんが回答します
悪ふざけには貴女の「大人」を見せるのが一番だと考えます。次に見せて触らせてと言ってきたら、思いきってその手をぎゅっと握り「好きな人にしか見せないし触らせないの。ごめんね」とかすかに微笑(ほほえ)んでみてはどうでしょうか。困った君のペースを崩すことは最大の口封じ。漫画を読んで勇気を出して、大人の勝負に出てみましょう。ちなみにその困った君はきっと貴女が好きで、ちょっかいを出すしか愛情を示せないのでしょう。「困らせても私は好きにならないよ」も効果的なセリフとしてここに書いておきますね。
貴女はもう大人です。だって、新聞の相談欄に相談する聡明さがあるのですから。
この新聞記事が世間の目に届いたばかりの頃は、壇蜜の返答を称賛する声が相次ぎました。「壇蜜さんさすがすぎる」や「上品な色気」などというコメントが多く、これらから見ても壇蜜の世間からの評価の高さがうかがえます。確かに、全文を読む限りは雰囲気がすごく柔らかく、大人の女性らしい口調で軽く年頃の男子をあしらう方法が述べられている点で評価できます。実際に新聞を読むような大人の世代からしたら気品のある、素敵かつ色っぽい返答なのかもしれません。
壇蜜のこの回答を評価する声は、以下のようなものがあります。
今朝の朝日新聞の『悩んで読むか読んで悩むか』が壇蜜さんが回答者だったのですが、凄く素敵な回答と美しい文章でした。あぁ粋だなあ素敵だなあ、是非相談者の女子中学生の方に実践して頂きたいなあ‥。文章の最後まで行き届いた気配りに、私までニコニコしてしまいました。
— ケケゆい (@kekeyui) August 7, 2016
朝日新聞の壇蜜の相談と書評のコーナー面白い 上品なエロさが中学生相手の相談回答でもムンムンでとる…!
— だ (@dngkzh) August 7, 2016
今日の新聞記事。今どき小学生に『きまぐれオレンジ☆ロード』薦めちゃう壇蜜さんステキ。 pic.twitter.com/th0eYLB5ic
— ♐Ichiro (@scotch16) 2016年8月7日
壇蜜 朝日新聞 記事
こちらが、朝日新聞の紙面に掲載された記事。ですが、この回答に対する評価はあくまでも大人の目線からのものであることを私たちは忘れてはいけないように思います。もともと相談者の中学生がセクハラに悩まされているという事で、性に関する問題はやはり性の象徴であり、大人気のグラビアモデルである壇蜜に聞くというその関連性に関しては分からなくもないです。
ですがやはりここで注目すべきなのは、今回のこの記事が「朝日新聞」により「12歳の中学生」に対して「セクハラ」であるという問題的事実を問題として捉えることをせずに、その対処を全てその中学生に丸投げしているという点にあります。
中学生と一口に言っても、相談者は今年中学に入学したばかりの12歳。高校入学直前の15歳とは経験も知識も恋愛観も全く違っています。まだ中学に入学したての女の子に果たして「大人の対応」と言ったものが必要なのかがそもそもの問題として挙げられます。
最近では些細なことがセクハラやパワハラだと騒ぎ立てられ、一昔前ではあまり問題視されていなかったようなことも問題とされるようになってきていることも上の世代からは指摘されています。ですが、胸を触らせろだったりパンツ見せろとの要求は確実にセクハラに当たる事は間違いないです。どうして会社というコミュニティで起こる事に関しては大騒ぎをするのに学校で起きるセクハラに関しては思春期だからとか、年頃だからという目線で問題視されないのか疑問に思います。
このように、今回の新聞記事は色々な観点から考えてみたときに、本当に適切なものであったのか、そして仮にも全国新聞で公開してもよい内容であったのか、様々な社会的問題が浮かび上がります。
壇蜜を称賛する声もあれば批判する声も、一気に増えてきました。
セクシーを売りにするタレントだからって、こういう回答が正解とも私は思わないし。常に男に都合の良い「セクシー」をそういう作品以外でも提供し続けなきゃならんわけじゃないでしょう。そういうタレントなんですっていうならそんな人にこんなもん回答させんなよ。真面目に答えろよ。
— 愚エビの紙魚 (@bookfishswim) August 8, 2016
なにこれ。エロオヤジをうまくあしらう商売術みたいなことをなんで中学生女子が男子にやらなきゃいけないのさ。男子に説教とカウンセリング。親に連絡の案件。というか、このクラス全体に性教育やりなおせい。
— めぐみ (@megumizq) August 8, 2016
これですよ。こうして「相手が嫌がってるなんて思わなかった」と思ってしまう構造が、よって性的暴力やセクハラが様々な形で許容されてしまうんです。
「男の子は好きな子には意地悪しちゃうものなの」といった言説も同様。加害者に加害の自覚を。 https://t.co/7JVG9azVLH
— ドニエフ (@salut_copain) August 8, 2016
これらのコメントを読んでみると本当に社会の問題を浮き彫りにした記事であったという事に気づかされます。日々投げかけられる数々のセクハラの言葉に嫌がる彼女。これは許されるべきことではないという事実を、その少女にも、また彼女にこれを強要する男子生徒にも、きちんと学校側や親側が働きかけて正すべきだと思います。それこそが「大人の対応」であるのです。
「貴女はもう大人です。だって、新聞の相談欄に相談する聡明さがあるのですから。」
大人に憧れる少女からしたら嬉しい褒め言葉のようなこの表現。ですが、どうあがいても彼女はまだ12歳。日本で法律上青年擬制に当たる結婚した16歳の女性の年齢にも満たないのです。このような少女を大人と呼び、そして問題の根本的な解決をせずに彼女の側に我慢や落ち着きを求めることは間違っている気がしてならないのが筆者の率直な意見です。
どうあがいてもこの構図は加害側である男子生徒からセクハラを受ける女子生徒という風にしか解釈する事が出来ません。男子生徒が女子生徒に好意を持っているからとか、そういう事情も憶測でしかないうえ、もはや考慮すらする必要性も疑わしいです。
好意を持っていたらなんでも許されるのでしょうか?好きな子にちょっかいを出すという事は一見可愛らしい青春の思い出として大人の目には映るかもしれません。ですが、ちょっかい出されている本人の気持ちが私たちにはわかるでしょうか?本当は嫌だったら?やめてほしかったら?もはやいじめでしかないようなことをされていたら?
大人としてはこういったことを未然に防ぎ、現に起きている問題を解決するように努力し、子供たちを救ってあげることではないでしょうか。誰でも過ちは犯すものです。それをまだ修正が効く段階で、大人が間違っていることだと正してあげることがむしろ求められていた事ではないのでしょうか?
少なくとも今回の新聞記事では少女が抱える問題を社会的な問題として取り上げるような回答ではなかったということから、当然に批判されるものであったことは間違いありません。
ですが、その問題を全て壇蜜のせいにする、という事も間違っていることは確かです。
結局は朝日新聞社が原因なのでは…?
壇蜜側からしてみれば、自身のキャラを活かした回答を求められていると考えてしまうのも無理ありません。これを社会的な問題として捉えるのであれば、子供が抱える悩みの専門家や精神科医、社会学者などからの意見を求める事が出来たはずです。なぜ相談者の悩みを解決してあげられるような多くの大人がいる中で壇蜜が選ばれたのか。それはやはり性に関するお悩みは性に関する専門家(?)である壇蜜に聞のが良いといった朝日新聞社側の勝手な判断によるとも結論付ける事が出来ます。
実際、「この相談の一番正しい回答は、紙上で答えるのでなく、新聞社がまずこの子の家庭や学校に連絡を取ってこれは深刻な問題なのだと働きかけることなんじゃないか。紙面に載せて、芸能人に答えさせて解決するという考えがそもそもものすごく甘い。」といった声も一般人から挙がっています。
こういった問題が今後消えることを切に願うばかりです…。