新海誠監督によるアニメ映画『君の名は。』がついに200億円を突破し、『ハウルの動く城』の196億円を超えて歴代邦画2位に浮上したことが、配給会社の東宝によって明らかにされた。
天井知らずのヒット作『君の名は。』
新海監督の大ヒットアニメ映画『君の名は。』の興行収入は驚きの200億円を超えを記録。日本のアニメ界の巨匠監督、宮﨑駿の作品『ハウルの動く城』を抜き、国内の歴代興行収入で5位に順位を上げ、邦画では歴代2位に躍り出た。この調子でいけば、日本映画歴代興行収入ランキング4位の『ハリー・ポッターと賢者の石』(203億)超えは確実でし、と3位の『アナと雪の女王』(254億8千万)を抜くのも夢ではないだろう。
あっ、今夜9時からテレビ朝日系で『君の名は。』地上波初放送だそうです。
正直とっつきづらくて観ていないという方もいらっしゃると思います。この機会にご家族、友達とお正月に集まって是非ご覧ください? pic.twitter.com/bQO2SY9fRB— Yojiro Noda (@YojiNoda1) 2018年1月3日
まだ劇場で公開されている
『君の名は。』は8月26日に公開され、12月4日までの101日間での観客動員数は1535万人に達した。更に、12月2日には中国での上映も始まり、公開二日目にして週末の興行ランキング1位を獲得した。公開三日目の興行収入ランキング1位は2015年公開のアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』だったが、それを上回った。逆に中国でのドラえもん人気の根強さのほうが気になるが、『君の名は。』は海外でも軒並み高評価だ。
ラスボスポジションの『千と千尋の神隠し』
『君の名は。』の興行収入に驚くのもつかの間、歴代興行収入ランキング1位に君臨する『千と千尋の神隠し』も桁の違いに驚いた。現在2位の『君の名は。』と100億以上差をつけた308億円だ。これは超えられるかどうかわからないのではないか。ツイッターでも、『千と千尋の神隠し』は超えられない、超えてほしくないという声が、『君の名は。』を応援する声よりも圧倒的に多い。『君の名は。』の快進撃で逆に千と千尋に対する愛着が湧いたのだろうか。急に人気になった新しいものに対して、昔からある人気なものを応援したくなるのは、別にこれに限った話ではないが、ヒヤヒヤしてしまうのはなぜだろう。
『君の名は。』の興行収入が199億円を超え、『ハウルの動く城』の196億円を抜いて邦画歴代2位になったらしく、このまま1位も狙えるんじゃね?と思って1位の『千と千尋の神隠し』の興収を確認したら、304億円というまさにケタ違いの戦闘力で、さすがラスボスやべーなと思った。
— ころがる (@rolling_milk) December 5, 2016
正直言って、君の名は。が千と千尋を抜いて欲しくない。
千と千尋ファイト。— どん@ミカンンンン(「?・ω・)「 (@mzgckinao0328) December 5, 2016
君の名はハウル超えたってマジか…
すごいことだけど流石に千と千尋はないだろう…— 別府(ベプシ) (@pepushi2_bepusi) December 5, 2016
ハウルが君の名は。に抜かれただと、、、残すはラスボス千と千尋のみ。ただあと100億あるんよね。さすが千と千尋だぜ。このまま歴代1位を千と千尋にキープしといてほしい、、、!
— れお (@leo_nardey) December 5, 2016
メディアの「残すは千と千尋のみ」ってフレーズ以下にも抜かす前提で書いてますけど君の名は。も一時的なものでは??
— もしも (@mosimoti) December 5, 2016
たしかに、昔と比べれば、流行の移り変わりが激しくんっているため、『君の名は。』ブームは年が明けたら収束していくかもしれない。しかし、実は『千と千尋の神隠し』の興行収入308億円は9ヶ月にも及ぶロングラン上映で得られたもので、『君の名は。』も9ヶ月も上映したら、超えるという可能性もないことはないのだ。(超えないとおもうが)
超えられたハウルは
『千と千尋の神隠し』のラスボス感も去ることながら、『ハウルの動く城』が超えられたことに対する衝撃も大きかったようだ。これまで歴代邦画の中で二位だったハウルは4億円近くの差をつけられ三位に落ちた。アニメ映画の興行収入ランキングでは千と千尋、アナと雪の女王、君の名は。についで四位に転落してしまった。宮﨑駿の時代は終わってしまったのかと心配になってしまうハウルの抜かれっぷりにハウルファンたちも困惑している。
まさか君の名はがここまで爆発的人気出るとは…いい作品だし好きだけどハウルの大ファンなので抜かされたのちょっとショック(笑)
— さやか (@tnprykmr35) December 6, 2016
ハウルの動く城が・・・君の名はに抜かれた・・・?
ジブラーのみなさん、何を思い煩っているのですか。
千と千尋が抜かれていないのならもののけ姫に続きそんなものは“かすり傷”ですよ。
ハッハッハッハ・・・・ pic.twitter.com/LXBL4r7sCP— ユキ@生きねば。(風邪長引) (@yuki_smile777) December 5, 2016
「二位じゃだめなんですか?」という有名なセリフももう通用しないなんて。邦画トップテンの中には六作品もジブリが入っていたのに、着々と抜かれてしまい、さすがに無いだろうと言われていたハウルも抜かれてしまった。君の名は。の人気っぷりが伺えると同時に、ジブリがどんどん抜かれていくことに対する「時代の流れ」も感じざるを得ない。細田守についで新海誠は「ポスト宮﨑駿」のポジションになりうるのだろうか。これまでジブリ一人勝ちだった日本のアニメ界で変化が置きているのは確かだ。
まとめ
100億円以上ある興行収入の差もあるが、『君の名は。』にとって何よりも厚い壁は『千と千尋の神隠し』の愛されぐあいなのではないだろうか。作品が素晴らしいのも去ることながら、当時は今ほどインターネットが発展していなかったのも、『千と千尋の神隠し』が「絶対聖域」化した原因なのではないかと考えられる。
インターネットの発達によってより多くの人の意見が可視化され、シェアされてきた。『千と千尋』の公開当時ももちろん賛否両論会ったはずだが、一般人による作品評価があまり可視化されなかった、すなわち影響力をもたなかった時期において、伸び続ける興行収入やアカデミー賞受賞などの、マクロな情報の方がより説得力を持ったのではないか。今では、インターネットによって、作品の全体的な評価だけではなく、ミクロレベルの個人的な感想も可視化出来るようになった。だからこそ『君の名は。』はこれだけの人気を維持できるのだろうが、マイナスなコメントの影響もないはずはない。もし今ほどインターネットが発達していない社会で『君の名は。』が公開されたら、興行収入はもっと伸びたのではないかとも感じられる。
つまり、『君の名は。』の人気は単純に興行収入だけで図れるものではない。インターネットの普及に加えて映画館に足を運ぶ人が減っているのも考慮に入れる必要がある。DVDやブルーレイの売上も加えたら、『君の名は。』が『千と千尋の神隠し』を「超える」のも十分考えられる。
『千と千尋の神隠し』公開当時よりも、評価軸が多くなったいまだからこそ、『千と千尋の神隠し』を再評価しようとする流れが生まれつつあるのではないだろうか。だが個人的には千と千尋にはこれからも変わらず一位でいてほしい。