
近ごろ、よく聞くようになった「さとり世代」。いったいどういった意味を持つ言葉なのでしょうか?若い世代を指す言葉だとは知っていても、具体的な年齢層や「ゆとり世代」との違いがわからないという人も多いでしょう。ここでは、さとり世代の年齢や特徴、ゆとり世代との違いなどを説明していきます。
さとり世代とは
「さとり世代」とは元々ネットスラングとして、2ちゃんねるなどの掲示板で用いられていた言葉です。
山岡拓氏の『欲しがらない若者たち』という本を取り上げたスレッドにおいて使われ始めたといわれていて、その後、朝日新聞が何度か特集したことで一般的に周知されるようになりました。

世間にさとり世代という言葉が浸透し始めたのは2013年ごろから。
『欲しがらない若者たち』という本のタイトルからもわかるとおり、物欲が少ない若者を意味していて、よく言えば「安定志向」、悪く言えば「経済を停滞させる世代」と評されています。
さとり世代の特徴
さとり世代の特徴として、第一に挙げられるのは高級な物を欲しがらないという点です。
日常生活で極端な節約を行なうという意味ではなく、旅行や外食、飲み会、ブランド物といった娯楽や高級品に対する欲求が薄く、それらの物品を購入するくらいなら貯金したほうがいいという考え方がさとり世代の最大の特徴といわれています。

さとり世代の人々は休日に出かけることが少なく、車も多少の不便を感じる程度であれば購入しようとしません。
車そのものの購入代金はもちろん、駐車場代や車検などの維持費も無駄な出費と感じて、貯金したほうが良いと考える傾向があります。
人間関係も淡白で、親しい友人であってもプライベートに踏み込もうとしません。
しかし人見知りをするというわけではなく、一見すると誰に対してもフレンドリーで人間関係を構築するのが上手いように見えます。
これはさとり世代が人間関係のトラブルを抱えることを嫌うためです。
また、目立つことを避ける傾向があり、たとえ仕事の昇進や給料アップが望めるとしても、多くの人に注目されるくらいなら現状維持を選ぶ可能性があります。

さとり世代の人々にとって、もっとも大切なのは可能な限りリスクを回避すること。
他人よりも多くの収入を得て、嫉妬ややっかみを受けることもリスクに含まれます。
中には「定年まで平社員でいい」「容姿も成績も平均点でいい」という人もいます。
「出る杭は打たれる」ということわざが胸に響くさとり世代の人も多いのではないでしょうか。

さとり世代とネット環境
さとり世代の物欲が薄い理由は、インターネットの普及と関係しているといわれています。
さとり世代が生まれたとき、既に誰もがパソコンや携帯電話などの通信手段を持っていて、気になる物事や調べものをする際にも、検索すればすぐにヒットする・解決するという状態になっていました。
わざわざ自分で行動を起こさなくても、誰かが経験したことをインターネットで閲覧すれば、少なくとも知識は得られる、満足感も味わえるというわけです。
また、友人や恋愛もインターネットを通じて交流を深めることができるので、外出して会う必要がありません。
出会いの数が非常に多いので、「この人にフラれても次の人がいる」といったドライな考え方で、恋愛に情熱を傾けない人が多い・恋愛に振り回されないというのもさとり世代の特徴となっています。
さとり世代の年齢は何歳から?
さとり世代の年齢は1987年~1996年生まれ、もしくは1990年代に生まれた人たちと定義されています。

ゆとり世代が1987年~1996年生まれですから、さとり世代でありながら、ゆとり世代でもある人が大半を占めているということになります。
さとり世代とゆとり世代の違い
さとり世代とゆとり世代は、ほぼ同じ年齢層です。では、どうしてわざわざ「さとり世代」という言葉が生まれたのでしょうか?
これは、ゆとり世代という言葉が悪い意味を持つ言葉として扱われているせいだと言われています。
そもそも、ゆとり世代とは学校教育にゆとり教育や完全週休2日制が導入されたことがきっかけで呼ばれるようになった名称です。
ゆとり教育は今までの日本で行なわれてきた暗記・詰め込みの教育をやめて、柔軟な思考を育てることを目的としていました。
しかし、失敗したとの評価が多く、結果的にゆとり世代=学力が大幅に低下した世代・言われたことしかやらないマニュアル人間といった認識が広まってしまいました。
当然ながら、ゆとり世代生まれの人々はこの呼び方に反感を持っていますし、自分のことを「ゆとり世代」と呼ぶこともありません。
「ゆとり世代だ」と批判された時に、対抗する言葉として「さとり世代」という言葉が生まれたとも言えます。

つまり、ゆとり世代とさとり世代の年齢層に大きな違いはありません。
1990年代生まれの悪い部分を取り上げているか、良い部分を取り上げているかというのが、ゆとり・さとり世代の違いです。
まとめ
「淡白すぎる」「向上心がない」と批判を受けることも多いさとり世代ですが、プライベートに踏み込まず、同じようなスタンスで接すれば、社会性が高く扱いやすい世代であるとも言えます。

さとり世代の部下や上司を扱いにくいと考えているなら、さとり世代の良い部分に注目して接してみてはいかがでしょうか。